聖者と愚者の鎮魂歌

束の間の休息

暫しの沈黙の後、食べ終わったのか、リウォードはナプキンで口許を拭くとため息をつき、こめかみを押さえた。

「ヴァン、食べ方については何も言わない。お前の自由だ。しかし、食べ物を口に入れたまま喋ることはするなと何度も言っているはずだが？」

「･･･んっ、は、はぃ！すいません。次からは気をつけます！」

またやってしまった･･･という顔をすると、口に含んだ食べ物をきちんと飲み込んでから、ヴァンはリウォードに勢いよく謝った。

基本的にマナーに厳しいリウォードだが、食事に対してのそれは他と比べ物にならぬほどだ。

過去に一度ヴァンがふざけて食事中、彼にフォークを向けたことがあったが、そのときの怒りようは思い出しただけでも背筋が凍りついてしまうほど恐ろしいものであった。

それからヴァンは最低ラインのマナーは心得るようになったのだった。

まぁ、今でも先ほどのように頻繁に注意をされるのだが。