束の間の休息

8/10

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
ウエイトレスが手際よく皿を片しているのを横目で見つつ、リウォードは物欲しそうな目でヴァンをちらりと見やる。 その視線に、またかと彼は苦笑して慣れた様子でメニューのあるページを開いた。 「お姉さん、追加でここに書いてあるやつ一種類ずつちょーだい!!」 「・・・一種類ずつ、ですか??」 ウエイトレスは不思議そうに首を傾げる。 ヴァンが人差し指を置いた場所は「デザート」と書かれ、10に近い品数が並んでいるところだった。 「そ。俺、こう見えて甘い物に目がないんだ。そゆことでよろしく!」 ニコリと少年のように笑う男に、かしこまりました。と笑顔で応えると、彼女は皿と伝票を持って奥へと消えていった。 「あ、ありがと・・・」 そっぽを向いたリウォードは消え入りそうな声でそう呟く。 「ん、気にすんなー。・・・つーか、べつに可笑しくないから自分で頼めばいーのに」 ヴァンは少し呆れながらも、普段と違う少年の様子を微笑ましそうに眺め、返事をした。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加