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煌呀が死んだ日、もう誰かが私のせいで死なない為に、私はずっとずっと、一人でいようと決めた。
また彼と出会う前に戻るだけ。
孤独でもいい。寂しくても、苦しくてもいい。
私一人の犠牲だけで済むのなら。
何年も何年も、そう思って、関わり合うことを避け続けてきた。
それなのに、どうして今になって、こんなにも一人が辛く感じるのだろう。
黒鋭の言葉がいつまでも心の奥で響いていたのは何故だろう。
それが、いけないことだと分かっているのに。
目が覚めると、柔らかな物に包まれている感触があった。暖かくて心地良いベット。
隣には、最近では見慣れた顔があった。意識が戻ったことを認識すると、ホッと息をついて笑みを零した。
「良かった。気分はどうだい?」
優しく問い掛ける黒鋭。
しかし、白雪は彼から顔を背け、その問いには答えずに自分が質問した。
「…貴方は…死にたいの?」
白雪の問いに、黒鋭は唖然として眉を寄せた。
「死にたいなんて思ってないよ」
彼の口から出た答えに、白雪はいつもより声を荒げて、叫ぶように問う。
「…っ…ならどうして傍にいるなんて……どうしてっ…」
離れようとしない?
離れずに関わり続ければ、先には無惨な死が待っている。
それを分かっていて、何故関わろうとする。
理解しがたい。
彼の言動、行動は不自然で矛盾している。
最後まで言葉を繋げられなかった白雪は、上半身を起こして、一呼吸置いた後、俯いてシーツを握り締めた。
「君は、自分と関わった人間は巧馬に殺されるから、一人でいるんだろう?」
打って変わって、穏やかな口調で黒鋭は問い掛ける。
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