第三話 選択と思惑

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「フフ…面白い子だね。あの目…相当あの子に執着してる」 新しい玩具を見つけたと喜ぶか…。 彼は楽し気に失笑する。 その彼があまりにも悍ましくて、彼に一生苦しめられるであろう白雪が、哀れに思えてきた。 彼からすれば黒鋭の想いは執着心。 「もう暫く時間を置けば、更に面白い展開になりそうだな」 彼にとって、この世に生ける人間は、自分が楽しむ為の道具でしかない。 その中のお気に入りが白雪だった…。 「あの子を連れて来るのはまたでいい。下がれ」 「はい。…巧馬様」 深々と頭を下げ、サトリは襖を閉めて来た道を戻った。 同じ『死神の牙』と恐れられている能力者の彼女をも、玩具同然に扱う巧馬。 彼は間違いなく、死神の牙なんてレベルの存在ではなかった。 ただの人間とも、死神の牙とも違う。人の皮を被った、本当の化け物。 人の姿をした悪魔。 白雪、黒鋭。二人は平穏な時間を生きられるのか。 チカラを持って生を受けたからには、穏やかな時間を脅かすのは巧馬だけとは限らない。 この理不尽な世の中だ。汚れた人間が、二人を狙うかもしれない。 もしくは、もっと別の何かが、二人の間を裂こうとするかもしれない。 死神の牙、轢には、苦難が次々と降り懸かってくるのだから。 どんなに懇願しても、さけることのできない宿命。 それを背負って、彼等は生きていかなければならないのだ。 .
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