桜風

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桜風

線路沿いを包むように風が吹いている     まだ淡い色をした風のにおいと     それを予感させるような息吹きが     ぼくの鼻の奥を燻した    いざ咲け桜     いざ咲け桜     私も咲いてみせますから     この季節を運んだ風にわずかばかり感謝して    この陽気を楽しむとしようか     出会いや     別れや     旅立ちや     再会が     この季節に満ちているから       『はじまり』と銘打とう     風薫る桜の道を     咲き誇る様を     ただ歓ぼう     いざ咲け桜     いざ咲け桜     私も咲いてみせますから
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