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ジェレミィは頃合いを見計らって問う。
「約束だ。此処でお前が護ってる物は?」
『………"卵"、だ』
スフィンクスはそれだけ答えた。
「"卵"?」
『次の問いだ。[目には見えぬが心には視えるモノ]、汝は何だと思う?』
「チッ…………俺は[絆]と答える」
ジェレミィが舌打ちして答えれば、スフィンクスはふむ、と前脚で頭を掻いた。
『よかろう。"卵"の事で良いのだな?』
「あぁ」
苛立ち気味にジェレミィが返せば、スフィンクスが語り始めた。
『"卵"は"叶えるモノ"だ。"善"も"悪"も無く、[願う者に染まる]のだ』
「成る程ね………」
質問には律義に答えてくれるようだ。
益々自身が望んでいるモノと同一のモノだと確信する。
『では次からは謎掛けだ。[此処に米が在る。では米は何粒在る]?』
そう言ってスフィンクスは獅子の前脚をジェレミィに見せた。
一瞬、「バルムンクにこんな肉球は無いな」と考えてから、肉球を凝視する。
肉球の上には長く伸びた毛しか無く、米など無い。
「無―――いや、在る」
『ほう?』
見たまんまを答えかけて、危うくジェレミィは否定した。
『何故だ?』
「ちょっと待って…………と、簡単さ。米を日本語の漢字で書くと、[十と四つの点に分けられる。十は普通に十粒、四つの点はそれぞれ一粒で、答えは十四粒]になる!」
それを紙に描いてスフィンクスに見せ付ければ、『正解だ』という答えが返って来た。
「答えて。"卵"が叶えられる願いには制限が在るの?」
「…………無い」
苦々しげにスフィンクスは答える。
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