279人が本棚に入れています
本棚に追加
答え方からしてこれ以上の回答は望めないと、ジェレミィは次の問いに移るよう進めた。
『最後の問いだ』
「以外に持ち数少ないんだね」
『此処まで来たのは小僧で何人目だったか。とはいえ皆喰ろうてやったがの』
からからと、先の態度はどこ吹く風、スフィンクスは嘲笑った。
そして問う。
『[朝は四本足昼は二本足、夜は三本足で歩く生き物は何]ぞや?』
ジェレミィは詰まった。
昔これと丸っきり同じ謎掛けを出された事がある。
養父は、ジェレミィが三日も悩んだこの問いを、サラリと答えてみせた。
あの時養父は、何と答えていただろうか。
思い出せない。
『どうした?答えられぬか?』
「だーっ、もう!ちょっとくらい待てよ!!」
こめかみに指を当てて考えれば、思い浮かぶのは養父の言葉。
―――朝は這って歩くから四本足、昼は立って歩くから二本足、夜は更に杖を突くから三本足だ
「杖………杖………―――!!答えは[人間]だ!」
『ほぅ?何故?』
「[朝は赤ちゃんだからハイハイするのに四本足、昼は大人だから二本足で立って歩く、夜は爺ちゃん婆ちゃんだから杖を突いて歩く]、人間の成長を一日に擬えた問題だ!」
『成る程、では何故[人間だけなのだ?魔族も神族も、赤子は這って歩き成人は二本足で歩く]ぞえ?』
「だって、[神族や魔族は成人したら年をとらないから、杖が必要無い]でしょ?」
『その通りだ。ただの小僧だと思いきや、中々やるではないか。気に入ったぞ小僧、名を教えよ』
「ジェレミィ。ジェレミィ=マクスウェル、トレジャーハンターなんだ」
『成る程、その名は忘れぬ』
スフィンクスは器用に頬杖をつくと、空いた片方の爪で魔法陣を描き始めた。
『余が契約してやろうぞ小僧。汝が必要だと思う時に余を喚ぶがよい、我が名を寄越す故。
―――我が名はアルウェル』
「魔族が名前を渡すのはヤバいんじゃなかったっけ?」
『小僧なら使われても良いという意味よ。小僧、汝が武器を此処へ』
アルウェルを名乗ったスフィンクスは、直径2メートル程の魔法陣を描き終えて言った。
最初のコメントを投稿しよう!