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「まぁ、今はそんなことは置いておいてですね、そろそろ止めに入らないとシロちゃんが飛んじゃうですよ?」
「・・・・・・飛ばせてあげるという選択肢は?」
「ないです」
「ですよね・・・・・・」
「泣いちゃうですよ?」
「ですよね・・・・・・」
あの人なら失敗しても――まぁ、成功する可能性は無いに等しいが――怪我はしないだろう。
ただ、失敗のショックで泣き出すことはおおいにあり得る。
「・・・・・・では行ってきます」
「はいです」
ため息をつきながら、僕は人混みを掻き分けて、シートへと登るための梯子に向かう。
幸いなことに副部長はまだ生徒たちにブンブン手を振っているから、急がなければならないわけでもない。今のうちに深呼吸をしておく。
それにしても、最近茅夏さんは僕のことをいじるのが楽しいのか、さっきのようなやり取りが増えたような気がする。
まぁ、今はそんなことを考えるのはやめておこう。副部長を押さえつけるだけの力がなくなってしまう。
「・・・・・・僕って間違いなく一番損な役回りですよね」
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