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「暫く、元の時代に戻るまでかくまってほしいなぁー……?」
短刀を取り出しながら此方をチラチラと見てくる。
はっきり言っていい?ウザいよ君。
「駄目。家族に見付かったら僕まで怒られるんだよ。よそを当たってよ」
「家族の了承を得ればいいんだな?」
「ま、まあね」
家族が認めてくれればね。
禮夜は部屋から飛び出して階段を降りて1階へと向かっていく。
馬鹿!今はお母さんが居るのに!!
「あらら、君は誰?」
「俺は『禮夜』…深澤葵の、『いとこ』だ…」
禮夜が中指をお母さんの額に当てて呪文のように唱えている言葉。
「『禮夜』…葵の、『いとこ』……」
お母さんの目はうつろで、禮夜が指を離すと同時にガクリと倒れそうになった。
それを禮夜が止めてくれた。すぐに意識を取り戻したお母さんは禮夜を見て嬉しそうに、
「あらぁ~禮夜君!よく来てくれたね~っ!」
「…ご無沙汰しています。お母さん」
何が何だかわからない。なんでお母さん、知らない人なのにそんな親しげなの!
「ホラ葵!せっかく禮夜君が遊びに来てくれたんだから挨拶しなさい!」
「え、ら、禮夜は…」
「アンタのいとこでしょうが!」
「えぇー……?」
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