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きみの体の持ち主は、どこ?
いないのなら、わたしが拾うよ?
かすかに耳に残る声。
(そうか、拾われたのか)
諦めと自嘲(じちょう)の入り混じった思考がつぶやく。
突然、腹部に何かがのしかかった。
顔にかかる、生暖かい息。
目線をさげていくと、犬の鼻先が視界をおおった。
垂れた耳と、大きな目、雑種だろうが愛嬌のある犬だ。
「あ、こら!
ハズ、降りな!」
あのときの声だ。
小犬は尻尾をふりながら、飛び降りる。
腹にかかっていた圧迫感はなくなった。
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