●少年、目覚める

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  きみの体の持ち主は、どこ?  いないのなら、わたしが拾うよ? かすかに耳に残る声。 (そうか、拾われたのか) 諦めと自嘲(じちょう)の入り混じった思考がつぶやく。 突然、腹部に何かがのしかかった。 顔にかかる、生暖かい息。 目線をさげていくと、犬の鼻先が視界をおおった。 垂れた耳と、大きな目、雑種だろうが愛嬌のある犬だ。 「あ、こら!  ハズ、降りな!」 あのときの声だ。 小犬は尻尾をふりながら、飛び降りる。 腹にかかっていた圧迫感はなくなった。  
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