●少年、目覚める

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  「起きたね?」 影がのびた。 女が、小犬を抱えて、少年を覗き込んだ。 女の顔は特徴がなく、ひどく老成してみえる。 しかし少年を見る表情はまるで子供のようだった。 それほど掴みどころのない顔だ。 ただひとつ、湖の底のような目が印象的だった。 「痛みはある?」 足がひどく痛んだが、少年は答えなかった。  
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