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観察を始めてから二ヶ月ほど経ったある日、いつもどおり観察の画面を開くと、彼が珍しく友達を家に招いていた。
「わ、友達来ちゃったよ」
ちょうど二人で部屋に入ってきたところだった。
桃香は初めて彼が人と話しているのを見て小さく感動した。
二人とも会社帰りなのかスーツ姿である。
どこかで既に呑んできたらしく、二人とも少し顔が赤くなっている。
友達の男は結構ふらふらしていた。
彼が奥からビールを二本持ってきて、二人は乾杯をした。
話し声がよく聞き取れない。
「もっとおっきな声でしゃべってよ」
桃香はぶつくさ言いながらパソコンのスピーカーの音を最大にした。
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