3人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「……一応、特技だから」
りんごのひとつを男性がうさぎりんごにしていくのを見ながら、女性は呟くように応える。
途端に、くすりと小さな笑い声が零れた。
「切れ味で味が変わるからな」
「でも」
「はい」
女性が何か言いかけるのを、止めるように男性は女性に自分が作ったうさぎりんごを差し出す。
背筋がきれいなうさぎりんご。
「もし、時間内に出来なかったらそれ出して再々試を免れなさい」
「そんなこと出来るわけないでしょ!」
子供に言い聞かせるような言い方に、女性はむっとした声で文句を言う。
実際、出来るわけないし、男性の方もそれを分かっているだろう。笑ってごまかす。
女性も、つられたように笑ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!