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私の生まれた所は、夜でもきらびやかな光が眩しくて。
当たり前にあるこの光が偽物なんて……。
もっともっと美しい、本当の光があるなんて。
存在自体が信じられなかった。
それでも頭では理解していたの。
作られた、人を欺くために着飾った偽物の光じゃ輝けないんだって。
本当の光は別にあるんだって。
光があるからその傍らには影があって。
暗くて怖い影があるから美しく輝く光もあるんだって……。
だから私は必死に影の中から手を伸ばしたんだ。
もがいてもがいて、口では信じていないって去勢を張って。
信じていないはずだって思い込もうとしてた、本当の光を手にいれたくて。
無邪気に夜空の星に手を伸ばす、幼い子供みたいに必死だったんだ。
小さくてよく見えないけれど、一番綺麗で一番優しい。
そんな光を夢見て……。
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