二章

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それから、何人ものホストが私へとついた。 みんな髪型と同じように、変わり映えのない話ばかり。 こちらの様子を伺いながら、勢いだけで流そうとしている。 それかHeartの女王だと解っているのか、しきりにご機嫌をとろうと必死なのが目に見えて分かった。 つまらない。 私はそう思いながらも、隣で嬉しそうに笑っている佳奈には言い出せなかった。 今日は佳奈の付き合いで来たんだし、佳奈が笑っているのなら、それはきっと大事な時間なんだと思う。 私達の世界ではそう思える時が来るって事自体があまりないから。 それでも、無駄に時間を消費する中で解った事もあった。 佳奈がずっと騒いでいた指名しているホストは明と言う名前らしい。 どんなやつだと保護者のようなことを考えていたが、ずっと見ていて少し安心した。 彼の佳奈を見る目が、とても優しく思えたから。 私の下衆な考えなんて、このまま杞憂で終わればいいと切に願った。 そんな事をぼんやりと考えていると佳奈との会話の合間に、件の明が話しかけてきた。 「ミコさん大丈夫ですか?疲れました?」 優しい声で偽物じゃない言葉。 佳奈にばかり気を取られてると思っていたが、ちゃんと私の方にも意識を向け、更には気にしていてくれた事に少し驚いた。 「ううん。だいじょぶだよ」 素直にその優しさは嬉しかったが、うんざりしている事実はなくならない。 たがそうも言えず、そっけなくなってしまったがそう言葉を紡いだ。
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