秘密基地での思い出

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しばらくすると「どーーーん・・・どーーーん・・・」と太鼓の様な低い音が、本来入り口があった筈の暗闇の方からします。 なんか怖い!!と思い、みんなで排水溝側へ脱出しようという事に。 大体の場所は手探りでわかりました。 「はしごあったよ!はやく!」 とみんなを誘導します! 最後に俺が上がろうとすると、「どーーん・・どーん・・ドンッドンドンドンッ!」 と太鼓のリズムの幅が狭くなり、何かが近づいてくるのが感覚的にわかりました。 「うわ!なんかこっちにくる!」 と言うと、上に登ったやつがライターを点火しました。 一瞬で明かりは消えましたが、その一瞬でも十分怖い!と思える形相の老婆がにたにたした顔で俺の足にしがみついてました。 みんな一目散! 無我夢中で排水溝へ登り、自衛隊張りのホフク前進で狭い中を進みました。 もう上を見上げれば、明かりは見えてます。 でも後ろを振り返るとさっきの老婆もにたにたしながら這って追いかけてきてます。 「助けてー!」 と言うと、一番初めに脱出していたやつが、上から排水溝のアルミ蓋を引き剥がして、俺を引っ張り出してくれました。 老婆はアルミ蓋の下から俺を少し睨み付けて、何かぶつぶつ言った後、排水溝にそのままの姿勢で逆戻りしていきました。 この老婆を見たと言ってくれたのが、当時僕の前を行ってたライター持ったやつと、一番最初に脱出して引き上げてくれたやつだけだったんですが、今でも3人で集まると「あれは何だったんだろうね」とよく話しています。
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