December 24th.

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一人暮らしでよかった、なんて。 マンションのエレベーターのなかで思う。 ――クリスマス・イブの夜に、ホテルの空室を探すほどムダに去る時間はない。 竜也の言葉をかりるなら、『こんな夜に』だ。 何かを話すわけでもなく、黙ったままで竜也はついて来た。 お互いの素性なら知らなくてもいい、といった雰囲気だった――― 薄暗い部屋に入った途端、どちらからともなくキスをした。 キスの相性は、悪くない それなら、ベッドのソレも良さそうだ。 今までの経験上、そうだった。 「…‥んっ……ふ、っ」 鼻にかかった甘い声を、先ほど自分を誘惑した唇から竜也がこぼす。 トン、と緩やかな抵抗を胸に感じて、そこに押し合てられた竜也の手に、自分のそれを重ねた。 「‥っはぁ、激しい、よ…」 途切れる呼吸が、ひどく煽情的だ。 唾液に濡れた唇が、朱い。 竜也の手を握りしめて、静かに、またその唇を奪う。 軽く一度押し合ててから、次には深く絡ませる。 何度も角度を変えて、お互いの舌を吸い合った。 腿にあたる竜也の欲情を感じたとき、離れた唇から刹那な声が洩れる。 「こんなところで…する気?」 「…しないよ。ベッドの前の、味見」 竜也の指が、俺の唇をなぞる。 「…ふぅん。で、この口に合いそうなの?」 まるで、聞くまでもないといった艶やかな瞳。 唇をなぞる竜也の指を口に含んで、舌先で吸い上げた。 愛撫を彷彿させるかのように――… 「‥…極上だよ」 その答えに満足そうに目を細めて、竜也は微笑む。 俺の口内から竜也はゆっくりと指先を抜き出すと、そのまま首に手を廻した。 それを合図に、竜也を抱き上げる。 「退屈させる気ないからね……」 そう言って語尾でくすりと自嘲気味にわらった声を聞いたとき、 長い夜が、始まった。 .
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