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柔らかく押し合てて、音もなく離れていく竜也の唇。
耳たぶに口づけを、
首筋に舌を這わせて、
鎖骨をきつく吸い上げ、
腰骨を噛んだ、
竜也の唇が触れるたびに体がびくん 、と波をうつ―――
辿り着いたソコに、竜也の舌先を感じた瞬間、
いま、竜也を感じている
それだけが、自分のすべてに変わった。
俺をくわえ込む竜也は、口腔の動きすら淫猥だった。
熱い舌が動き回る。
「んっ…んんっ、たつ‥や、ああっ!」
一度すべてを舐め上げた舌を、くわえた先端で止めて、竜也は言う。
「――髪、撫でて‥」
切なく揺れる瞳のワケはわからないまま、
カールがかった毛先がなぞる首筋に手を伸ばして、指先に、その柔らかな髪を絡めた。
それを合図に、竜也がまた舌先を動き始める。
「竜也…上手、すごっ‥…ふぅ、んんっ!」
再びあたたかい竜也の口の中に自身をくわえられて、きつく吸い上げられる。
「‥っは、あっ、たつっ……ッ!!」
腰が大きく跳ねて、一瞬あとに、欲を放った。
「――‥ん、くっ…‥」
竜也の苦しそうな声を聞いて、肘をついて上半身を起こす。
「たつ‥―――?!」
竜也からの口づけに、口内に拡がる苦味。
「お互い様でしょ?」
「――いい性格してるよ‥…」
「それも、ね‥…」
妖しく口角を上げた相手の腕を引いて、自分の下に組み敷いた。
「出したばっかりでしょ‥…」
ふっ 、て可笑しそうに竜也は言う。
――なんだ。
そんな顔も、出来んじゃん。
「可愛い‥竜也…」
「……それは知ってるけど‥話しの脈絡が全然ない」
少し膨れた頬に、思いがけず抱いてしまった淡い気持ち。
――これ以上、ほだされるな。
「‥俺、今日おかしいって。さっき言ったよ?」
「……言ったね、」
呆れたようにつかれた、ため息ごと唇で奪った。
ただ、持て余す熱だけをぶつけ合いたかったのは、二人、この時同じはずだったのに。
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