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薄暗がりの部屋で、目を覚ましたAM 5時。
ひやりとした明け方の空気が肩に触れて、身じろいだベッドの中。
「……っん、」
右半身にぬくもりを見つけて、その存在に気付く。
ああ…いてくれたんだ。
隣で眠る、竜也の髪をそっと梳いた。
「‥……んん‥、っ」
眉根にシワを寄せて、くぐもる声をもらすと、ゆっくりと竜也の瞳が開かれた。
「ごめん、起こした…?」
「…‥まだ起きてないよ、夢んなか‥」
そう言って、腕のなかに擦り寄せられた身体。
ぎゅっ て抱きしめたら、気付いてしまった自分の気持ち。
―――離したく、ない。
一晩中、呼び続けた名前も、
痛いくらいのキスも、
きみの高めの体温も。
俺は、愛してしまったかも知れない。
「‥…ねえ」
腕のなかから聞こえた声に、なぜだか泣きそうになった。
「なに‥?」
「俺のこと、きかないの?」
―――ねえ、
「きいてほしいの?」
あのとき俺が、
「‥…ううん」
きみに強がりもしないで、気持ちを告げていたならって。
あの日から夜が明けないんだ――――
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