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「カメ、きのう楽しかった?」
「……っへ、あ、」
ここは、うん。って…言うべきなのだろうか。
「う、ん。なんか、知らないひとばっかで。喋ったりとか、あんましてないよ?」
入荷リストをぱらぱらとめくるコウキに、ちょっと口ごもりながらそう言うと、
「……あー、人見知りしちゃうもんね、カメちゃんは!うん。いや、しょうがないって!こればっかりは!!!」
なぜか…上機嫌…‥?
中丸に置いてかれたのに、なんでそんなテンション上がってるんだろう?
普通はそこ怒ったりとかしない?
「コウキなんで怒んないの?昨日とか中丸においてきぼりにされたのに」
「んっ?! んー…だって、それにキレたってしょうがないっつーか。過ぎたこととやかく言っても、ね!」
ああ、そうだ。
コウキって、こういう奴。
「コウキはサバサバしてるよね、そういうとこ、なんか、いいなって思うよ」
リップサービスとかじゃなくて、本心で。
コウキのこういう後腐れない性格が好きだな、って、おもう。
「ま、どっちにしても俺、合コンとか興味ねーし!愛しのカメちゃんがそこらの女に喰われなくて、ホンットよかった!!」
「喰わ…って、お前ね(笑)」
普通、そこ逆だろってツッコミはコウキの笑顔に吸い込まれた。
「んじゃー、カメちゃん♪きのう置いてきぼり食らった俺の傷心を癒してね?」
「はっ?お前、気にして無いんじゃなかったっけ」
カウンターに広げてた入荷リストをパタンと閉じて、
「今夜はカメちゃんとディナーか~!楽しみだなー☆
あっ、中丸はハブね!絶っ対、アイツは呼んでやんねーから!!!」
そう言って、浮かれ足で昼休憩に向かったコウキの後ろ姿を見送った。
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