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今朝、きのうの帰り際の中丸のテンパりぶりを本人に指摘したらしいコウキ。
『中丸がテンパってるときはロクでもないこと隠してるだろ』
そうコウキに言われた中丸は、自分が嘘吐いり、ごまかしたりしたところで納得する相手じゃないとすぐに観念したらしい。
それで、合コンがあったこと、定員オーバーでコウキを連れていけなかったこと、ぜんぶ素直に白状した。
…ってのが、さっきコウキに聞いた話し。
やっぱりコウキはサバサバしてて、置いてきぼりにされても
『アイツもたまに変なところで隠し事するよな』
って笑ってただけで。
俺も、中丸がきのうの時点でコウキにちゃんと話せばよかったんじゃ…とか思ったわけなんだけど。
お互い、どんな人間か知らない仲でもないんだし。
まあ、中丸には中丸の考えがなんかあったのかな、とか。
色々思ってみたりしたのは、止まりそうにない思考をせめて逸らしたかったから。
『中央通り裏、”ラズ”』
少しでも気を抜くと、ふとした瞬間ですら思い出してしまう。
まるで毒薬のような、あの存在を。
だけど、行かない。
絶対に、行かないと。
誓いはまるで破られるためにあったかのように、
その日、運命が変わった。
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