Luv Song.

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大通りに出ると、タクシー乗り場でもないのに、車道脇にはどこそこにタクシーが乗客待ちをしていた。 赤西の、送るって言ってたあれは…俺がタクシーに乗るまでってことでいいのかな。 まさか家まで歩いて送るとかじゃないよな。歩けない距離でもないけど。 こんな寒空の下じゃ凍えて死んじゃう。 つーか、死ぬは大袈裟だけど、普通に風邪ひく。 「あかに…」 「っぁあああーさみい!かめ、あれ!あのタクシー乗ろう!!」 「はっ?!乗るの?!」 お前も?! 「はあっ?!乗んねえの?!おまっ、歩くんか、この寒空んなか!!」 「ちがっ、」 「おら、乗るぞ!!」 そう言って、俺には有無を言わさず近くに停まっていたタクシーに押し込められた。 つーか!! 赤西ん家ってどこ?! 俺ん家の近所とか?!いや、どこに住んでるとか俺言ってないよな!? なに、こいつめちゃめちゃ金持ちとかなの? 「かめ、家どこ!」 乗り込んだタクシーのなかで、寒さに背中を丸めた赤西に聞かれた。 赤西の声のデカさに、バックミラー越しに一瞬寄越された運転手の視線は冷ややかだった。 「‥あ、ぇ と、桜木町。紅葉坂んとこの大きい交差点渡って。その辺で降ろして貰えれば」 言いながら、赤西から運転手に視線を切り替えた。 煩くしてすみませんという意も込めて。 でも、ほんとに寒い。 かじかむ指を握り込んで、肩を竦めた。 家の近所で降ろして貰って、そこから歩いて帰ろう。 寒いけど、しかたない。 なんか、‥何となく。 「っああー、まぁじ寒かったー!!俺、冬ほんっと無理!嫌い!!」 冬が無理でも嫌いでもどっちでもいいけど(つーかどうでもいい)、お前は声量を考えろ。 「ああー早く春こねえかなあー。あっ!つーか、夏こねえかなあー!!やっぱ夏だなあー」 だから黙れ! 「かめは‥ 」 「赤西、」 見事に被った話し出しのタイミング。 もうなんか、なんだろ。 うん。 俺も夏のが好きだよ。好きだけどね。 って。それが聞きたかったんだろ、お前は。 もうさ、それいいから、ちょっと喋らせろ。 「んあ?!なに?!はい、かめ!!」 はい、ってどうぞの手をされて。 なんかこいつと喋るの疲れてきた‥…まだ喋ってないけど。 .
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