Luv Song.

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赤西がどういうつもりで泊まるなんて言い出したのかは、見当もつかなかった。 「あんま大きい声だすなよ。夜中なんだから、近所迷惑になる」 「あーい。…って、子供か(笑)!」 「地声がデカいから言ってんの。自覚しろ、お前は」 マンションのエントランスで、なるべく小さい声で話しをした。 鞄から取り出した部屋の鍵が、一まとめにキーリングにつけた他の鍵に触れる。 その音が、やけにその場に響くような気がして、手の平に握りしめた。 「――はい、散らかってるけど文句言うなよ。お前がいきなり来たんだから」 赤西を先に玄関に通して、その背中に話しかける。 「わぁってるって!なんも言ってねえじゃん!」 ブーツを脱いだ赤西は、振り向いて笑った。 さっきから、やたら心臓の音が煩い。 赤西の笑った顔がそれに拍車をかけそうで、慌てて目を逸らした。 「俺、ブーツこれ紐が面倒臭いやつだから。脱ぐのに時間かかるから、部屋の電気つけてその辺座ってて」 赤西に背を向けて、玄関先に座り込んでからブーツの紐を解くことに集中する。 指先がすこし震えてるのは、寒さのせいだ。 赤西から何も返事がなくて、体勢はそのままに、様子見に顔だけを振り向かせた。 「――…っ!!」 赤西の、匂い。 それだけで、どうにかなりそうなのに。 背中から抱きしめられて、一拍置いて、強くなるのは回された腕の力。 息を、呑んだ。 抗うよりも先に、緩く、腕は解かれて。 至近距離に、赤西の顔。 床についた赤西の両手に、ゆっくりと体重がかけられて。 唇が、触れた――― 音も立てずにキスを落とした唇は、ゆっくりと、離れて。 唇に息が吹き掛かる距離で、角度を変えて。 そのまま下唇を吸われると、唇を割って舌を入れられた。 舌で口内を犯されて、気付いたときには壁に押し詰められていた俺の体。 「…‥っ、は、ンっ!!」 あがる呼吸、昇りつめる体温。 すべてが赤西と同じ温度なんじゃないだろうかと、そんなことを本気で思った。 冷え切ったはずの赤西の掌が、素肌に触れたのに冷たく感じなかった。 .
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