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「できればあなたにも彼女達の声を聞いてもらいたいの」
「あなたにはそれをできる力がある」
「俺を買いかぶってくれるのは嬉しいけど、残念ながら役不足だと思うよ」
由美は大きく首を横に振った。
「今日、杉本さんがあなたのところに現れたのは、あなたに何かを伝えるためよ。あなたには、声を聞く力がある。そして・・・」
「そして?」
「あなたがどんなに嫌がったとしても、きっと向こうからやって来る。今日みたいにして」
俺は、今日この場に来たことを激しく後悔した。あんな輩にまた出会うというのか。しかも声まで聞けとは。
「ね、島崎君。同級生が二人も殺されているのよ」
由美の目には強い力が宿っていた。それは有無を言わさぬ力だった。しぶしぶ俺は承諾した。
結局コーヒーフロートは飲まず終いだったが、暗くなる前に帰らなければならなかった。店員はまだ訝しげに俺のことを見ていた。朝から何もかもついていない1日だった。
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