scene3 最悪な1日の終わりと始まり

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アツい・・・。 喉がひりひりと痛む。身体中にはべっとりと汗がまとわりついていた。嫌な汗だ。 確か冷房をガンガン効かせて眠ったはずだ。それなのにこの異常な暑さはなんだろう。身体が重かった。時刻を確かめようと身体を起こそうとしたが、指1本動かせなかった。まるで自分が鉛にでもなったような心地がした。それでも意識だけは醒めていた。 ふっと視界の端に動くものがあった。 「それ」はビクンビクンと痙攣していた。そして不規則な痙攣を繰り返しながら、「それ」はゆっくりと、だが確実に俺に近づいて来ていた。 「それ」は時折「おうっおうっ」と短い嗚咽のようなものを発した。明らかに人間のものではない、闇の底から這い上がってくる気味の悪い嗚咽。 まだ続いている・・・。どうやら最悪な1日は、眠っても過ぎ去ってくれなかったようだ。 「それ」は俺を上から覗き込んだ。 「それ」は人間の形をしていた。 ・・・長瀬京子。 由美の言った通りになった。 長瀬京子、お前もか。俺に何を伝えたい? 鼻のない顔、両耳まで裂けた口。杉本百合と同じだ。俺を真上から真っ直ぐに睨みつけている。
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