scene3 最悪な1日の終わりと始まり

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・・・なんなんだ? 俺に恨みでもあるのか? 俺はお前と話したことすらほとんどないのに。 痙攣する度に口から血がしたたり落ちる。その血は俺の口元に落ちた。濃い鉄錆と腐った体液の入り混じった味がし、強烈な吐き気が俺を襲った。 「おうっおうっ」 嗚咽が耳につく。だんだん頭が痛くなってくる。それでも意識だけは妙に醒めていた。恐怖はなかった。だが、とにかく気分が悪かった。血は滝のように滴り落ち、俺を濡らしていった。嗚咽はますますひどくなる一方だった。相変わらず身体は鉛のように重い。それでも意識だけは妙に醒めていた。 ・・・思念を拾い上げる。由美は俺にそう言った。 ・・・思念。 俺は目を瞑り、長瀬京子の思念の糸を手繰り寄せた。俺の意識の糸に長瀬京子の思念の糸を絡み合わせる。 途端、恐ろしいほどの痛みが俺の頭を貫いた。同時にやってくる激しい悪寒。さっきまでの暑さが嘘のように引いた。
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