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期待は、無残に裏切られた。ぎゃあという悲鳴が、朝の静寂を壊した。
・・・なんだ?
俺は声のした方へ、走った。この先の角を曲がったあたりから、聞こえてきた気がした。そう、この角を・・・
曲がろうとしたとき、人影がさっと目の前を横切った。かなり慌てている様子だった。
俺は、その人物を目で追った。
・・・鷹!
俺には全く気づいていないようだった。猛スピードで駆け去っていった。
悪い予感が頭をよぎった。
角を曲がると、すでに幾人かがそこらに溜まっていた。半狂乱の者、号泣するもの、慌てふためく者、手で目を多い叫んでいる者。
俺は、その人だかりを掻き分けて、騒乱の中心へと入り込んだ。
まだ、悪夢は続いていたのだと落胆した。
鼻を削ぎ落とされ、口は両耳まで裂けていた。赤いものが、首に巻き付けられていたが、すぐに舌なのだとわかった。舌は夏の朝日を浴び、生きているみたいにキラキラと輝いていた。そのような姿になっていても俺は、見間違うことはなかった。その服装、特徴のある切れ長の目。
蛇だった。
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