scene4 約束

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警察が私服も制服も含め、そこら中を聞き込み張り込みでうろついていた。その網の目をかいくぐって新たに殺人を犯すなど余りにもリスクが大きすぎる。まさか今この状況で第3の殺人が起きるなど警察でさえ、可能性が低いとタカをくくっていただろう。 「急がなきゃ」と由美は言った。 「まだ誰か狙われるの?」 「・・・うん。多分。だってものすごく嫌な感じがするの。強力な悪意がこの学校全体を覆ってる。そんな感じ」 ・・・悪意。それは由美の言っていた、この学校に関わる『あの事件』と関係があるのだろうか? しかし、腑に落ちないのは鷹だった。 「鷹が絶対怪しいよ。アイツの俺とすれ違った、あの時の慌て方は尋常じゃなかった」 蛇が殺された翌日、警察が鷹に任意同行を求め、学校にやって来たことは、今や、全校に知れ渡っていた。事件はこれで解決するのでは、と俺は期待に胸を膨らませたが、そう簡単にはいかなかった。今日、仕事を行う鷹の様子が目撃されていたし、朝会でも校長自らが、鷹は被疑者として連行されたわけではないと力説していた。
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