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俺は体調不良を訴えて、1Fの保健室へ行った。保健室のベッドには先客がいた。教室を見渡すが保険の先生はいない。どこかに外出しているらしかった。先客は俺の気配に気づいたのか、こちらに向き直った。どこか見覚えのある女の子だった。彼女は唐突にこう言った。
「あなた見えるのね。・・・あたしも見えるの」
俺はちょっと吃驚した。霊感体質の人間の噂話はよく聞くが、俺以外に「見える」人間には、実際に会った事がなかった。
「そうなの?すごいね!」
彼女は俺をじっと見つめたまま、少し間を置き、「そんなことないよ。あなただって見えるじゃない」と言った。
言われてみればそうだ。俺は、自分のような体質の人間に出会えたことに少なからず興奮していた。さっきまでの頭痛と吐き気も忘れ、彼女に今日の一件を話した。
「君にも見えた?」
「うん。あなたが叫んだとき、あなたの前に女の子がいたわね。あれは確か・・・」
「杉本百合だよ。最近殺された」と俺は彼女の言葉に続けた。
「二人目・・・」と彼女は寂しげにつぶやいた。
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