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「ちょっと!」
俺は店員を呼んだ。由美と俺はコーヒーフロートを2つ注文したのだが、いつまで待っても来なかった。
「もう20分は待ってるんすけど、たかだかコーヒーフロートにそんな時間かかるんすかね?」
店員は、平謝りし、少しビビった表情でコーヒーフロートを運んできた。由美はそんな俺を笑いながら見ていた。
「何で笑ってんの?」
「こういうことってよくあるんだよ」と由美は言った。
「こういうこと?」
「品物が運ばれて来なかったり、逆に頼んだのより多く運ばれて来たり。霊的な体験をした日にはよくあるの。島崎君って力持ってるのに、あまり慣れてないんだね」
「持ってるって言っても、ただ見えるだけだし・・・。そんなに大した力でもないよ」
「そう?あたしには結構力を持ってる気がするけどなあ。あたし、巫女の家系だからよくわかるんだ。多分島崎君は、霊的なものに心を開いてないんだと思う。不安や恐怖を感じるときには、必ず何かが語りかけてるの。その不安や恐怖のベール一枚隔てた向こうには、真実が隠されている。まあ、口で言うとものすごいアバウトだけど、感覚的に身についていくものなんだよね。そのベールの剥ぎ方さえ分かるようになれば、結構トラブル回避できるようになるんだ」
「ふーん」と俺は言った。
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