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“一ノ瀬さん”は俺をじっと見つめた後、軽く頭を下げた。
「こんにちは。」
「…ちわ。」
…気分が悪い。告白だろうと、なんだろうと今は寝起き。ローテンション。正直喋るのも面倒くさい。
「あの…石渡くんから聞いた?」
「あー…うん。」
「あのね…。私、二ノ宮くんの事好きなの!友達でもいいの!」
…あ、まこちゃん大正解。告白されたし。
相手は結構可愛い。でも知らない女。知らない女とは付き合えない。だから俺の答えは当然NO。
すぐに返事を返す。
「ごめん、好きな子いるから。」
本当はいないけど。こうやってフッた方が相手もすぐ諦める。
でも、彼女は違ったんだ。
「…じゃあ友達っ…!友達もダメ?」
友達っていっても…俺にそんな気はない。
「ごめん、友達も…」
「お願い…。」
泣きそうな顔。泣かれるのは困る。
あー…やめろよ、そんな顔されたら…。
「無理」なんて言えないじゃん。
「わかった、いいよ。」
「ありがとう!」
彼女の表情が明るくなる。
あ、可愛い。
フッたクセにそんな事を思った。
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