1帖 桐壺 KIRITSUBO

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この頃には少年になってた、お気に入りの更衣の若宮(わかみや=幼い天皇の子供。宮さま。現代でも秋篠宮さまとか言うでしょ)を帝は連れて、藤壺と会うの。 藤壺は自分の母親に似てるって周りのみんなが言うし、若宮は藤壺に親しみを感じるのよね。   この若宮は綺麗な顔で、賢くて、帝の自慢の息子なんだけど、12歳になって元服(げんぷく=大人になる儀式。成人式みたいな感じ?でも人によって元服する年齢はちがうのよ)することになったの。 実は若宮は、以前高麗人(こまびと=朝鮮人)の占い師に、帝になる相だけど、実際に帝になったら世の中が乱れるって言われてたのね。 それにもし親王(しんのう=天皇一族の一員。宮)にしたら、政権争いに巻き込まれるかもしれない、そんな心配もあって、帝は若宮を臣下の源氏にすることにするの。   元服と同時に結婚式。 相手は左大臣の娘、葵の上。 これはもちろん政略結婚よ。 若宮は母方の親族を亡くしていて、後ろ楯がほしい。 左大臣は帝のお気に入りの若宮の義理の父になって、帝によく思われたかったわけ。 大人って汚い?でも、そんなものよ。   で、この葵の上だけど、なんとも素っ気ない。 なんせもともと東宮(とうぐう=皇太子。今は弘徽殿の女御の息子、若宮の兄がなってるわ)妃になる予定だった女だしプライド高いのよ。 若宮もね、すっごい可愛がられて育ったから、二人とも坊っちゃん嬢ちゃんで、お互い相手に一歩譲れないんじゃない? 単に相性悪いだけかもしれないけど~   冷たい妻に打ち解けられない若宮。 若宮が本当に好きな人は別にいたのよ。 それは義理の母、藤壺。 父親の奥さんで、しかも帝の后。下手に手をだしたら反逆罪! 元服して大人になってからはなかなか会えないし、会えても顔を見ることができない(この時代の女性は、男性に姿を見せないの。間に御簾や几帳を置いて会うのよ。若宮は子供のときは帝のとりなしもあって、直接顔をあわせることができたんだけど、大人になったらムリムリ)。 でも、困難な恋ほど燃えるのよね~   そういえば、占い師の高麗人は、若宮のことを、輝く光る君って言ったらしいわ。
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