~発端~ 弐ノ巻

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『坂上~坂上。次は郵便局前に止まります』  通学中のバスの中、アタシがボーッと突っ立っていると、肩をポンッと叩かれた。 「おはよう。忍舞」 「おはよー。しーちゃん」 「オハヨ。二人とも」 「忍舞、なんか暗いわね。どうしたのよ」 「別に、何もないよ。ボーッとしてただけ」  今のが、水槻風(みなづき ふう)アタシと同じ星葉(せいば)高校2年のB組に通い、クラス委員も努めるしっかり者。  肩までのサラサラストレートの髪はおろしたままで、アタシより少し高い身長は、164センチくらいかな? 「だめだよぉ、ボーッとしちゃあ」 「アンタに言われたくないわ」  この子は如月泉(きさらぎ いずみ)。  同じく星葉高校2年B組に通う、天然ボケ(?)な女の子。  胸まである天パの茶髪(生まれつき)はいつも2つに結んでる。  背はアタシと同じくらいかな。  泉はちっちゃな頃から知ってるし、風も中学からずっと一緒で、アタシの大切な親友なんだ。 「ねぇ忍舞。今日こそは弓道部に出てもらうわよ。いっつもバイトで、こっちには顔を出さないから、いいかげん先輩達も怒ってるんだからね」 「怒られても、行けないもんは行けないんだもん。結果はちゃんと出してるから良いじゃない」 「ダメよ。今日ぐらい来なさい。もう2週間も来てないでしょう」 「ほとんどの運動部に入部してるんだから仕方ないじゃない」 「でも、本命は弓道部で、後はバイトでしょう」 「ぶ――ぅ」  風に反論できなくて口を尖らせてたら、今度は泉が誘ってくる。 「しーちゃん。一緒に行こ~」 「……しょうがない。今日は特別。でも、1時間くらいしかいられないからね」 「どうしてぇ?」 「ちょっと用があるんだ」  昨日の事もあるし、いつどこで氷ノ流に攻めて来られるかもわからないのに、ゆっくりと部活なんてできないわ。  それに、ティーファが言ってた協力者を探すって言うのも気になるし、今日はさっさと帰ろう。 『次は星葉高校前。星葉高校前~』  風達と話してると、いつの間にか学校が見えてきた。  さぁ、今日も頑張りますか。
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