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体調は最悪。
フラフラしながらリングに上がり、それでも絶対小林光二に勝ったと、確信する試合をやってのけたのである。
小林光二が世界チャンピオンになった…ジャッカルの中で、どうしょうもない、ボクサーとしての苛烈な血がたぎり、身体を駆けめぐった。
矜持、猜疑心、悔根、嫉妬……あらゆる雑音が、ジャッカルをリングへと引き寄せる。
リングに上がる以外、その気持ちを押さえることはできなくなっていた。
「リングに上がるなら、娘をやるわけにはいかない」婚約者の父親の言葉に、ジャッカルはそれでも「リングに上がりたい」と、ボクシングを選んだ。
むろん結婚式はキャンセル彼女とも別れてしまう。
ジャッカルはすべてを捨てて、リングへ戻ってきたのだ。
前代未聞の、引退式での復帰宣言。
そのリングで、ジャッカルの復帰戦が世界1位の相手に決まったと発表される。
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