憧れ

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ジャッカルは、その頃の職場近くにあった、国際ジムに通いはじめ、23才という、当時の常識ではかなり遅い年齢でデビューした。 デビュー戦は壮絶な打ち合いの末判定勝ち。 後楽園ホールの眩しいライトの下、レフリーに手を揚げられ、観客達が「よくやった」「今度もがんばれよ!」とジャッカルに歓声をあげ拍手を送ってくれる。青森を出て8年、誰にも相手にされなかったジャッカルが、そのとき「俺はここにいる」と存在を確認できた瞬間だった。 人から拍手を受けるという事は、自分が認められるという事である。 そのことが「生きている」という、最高の喜びを感じる事の出来る「場所」を感じた瞬間だった。 それがジャッカルのいう「リングの上が自分の存在」の始まりだった。
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