友人からの電話

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「じゃ、かあさん、行くんやね。決定!」 と、勝手に決定してしまった。 しかし、私が不安な顔をしていると 「何か問題でもあるん?」 心配そうに尋ねたので 「どうするん?ご飯とか・・・洗濯とか・・・掃除とか」 典子は、主人の顔を覗き込んで、 「適当にやるやんなぁ~」 と、笑ったが、主人はモゴモゴと、 「そ、そんな事心配せんでええ・・・」 内心不安そうに言った。 「ほんま?大丈夫なん?行ってきてええん?」 と、聞くと典子が口を挟んできて、 「あかんかったら出前でも取るやん。なぁとうさん?」 「そんなんもったいないやん」 思わず口にだした。 「適当にやるから家の事は心配せんと行って来い」 旅行に行けるというのは本当に嬉しかった。 その反面、私がいなくてもこの二人は困らないのだというのが寂しかった。 結婚して十九年、右も左も解からないまま子育てに主婦にと時間を使ってきたのだ。 なんだか心の中に隙間風が吹いた気分とでもいうのだろうか? それとも、やはり子離れできていないという事が原因なのかもしれない。
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