夜行バス

友人からの電話

「行くんなら、楽しまないと損やわ！」

私にとっては一大決心のこの旅行に出掛けたのだった。

聡美との旅行は初めてだったが、行き慣れている聡美は頼もしい案内役で、思った以上に楽しく夢の世界を充分に満喫して帰ってきたのだった。

しかし、初めての旅行には、色々と物入りで、この大きなボストンバッグもその一つだったし、パスポートを取るにもお金がかかった。

その上、懸賞は東京からの旅行券だったので東京までの旅費は勿論自分持ちなのだ。

行きは新幹線で東京に向かったのだが帰りは、少しでも安く上げたくて夜行バスを選んだのは主婦の悲しいサガなのだろうか？

夜行バスの窓の外は、相変わらず同じ距離を保つ外灯が流れるように飛んでいた。