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「うわぁー!間に合わんわ!」
東京駅に着いた私は、夜行バスのターミナルが解らず時間を食ってしまった。
「どうしょう・・・・最終バスやのに・・・・」
ターミナルは見つかったものの、大阪行きのバスが見あたらないのだ。
手には持ちなれない大きなボストンバッグを持っている。
とにかく私は慌てていた。
だから色んな物にぶつかるのも、おかまいなくボストンバッグを引きずるように走る。
左右をありったけの神経を張り巡らせバスの行き先を示す物を探したが、どこにも『大阪行き』というのが見あたらない。
私は、途方に暮れながらも諦める事は出来ないと必死に探した。
時計を見ると発車時間の十一時五十分を指そうとしていた。
「もうあかんわ。」
と、諦めようとした時、真正面にバスが一台止まっているのを見つけた。
行き先を示す所に目をやると他のバスの影で全部の文字は見えなかったが、『大』の字だけがはっきりと見える。
「あれや!大阪行き!」
ちゃんと確認する事もなく私は、そのバスに乗り込むことにした。
そんな私の後を追うように、黄色いリュックサックの小学生の男の子と、アタッシュケースを持ったサラリーマン風の男の人が雪崩れ込むように乗りこんできたのだった。
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