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私は、周りをゆっくりと見渡した。
どの顔もやはり見覚えがある。
男の子が言っていた
『この人達、見た事ある』は、こういう事だったのだ。
私が、その事に気が付いたのと、サラリーマンの男の人が、この事に気が付いたのは同じだったのかもしれない。
しかし、至って冷静な男の人は、
「信じられない事ですが、これは夢ではなさそうですね。それとも、私達も死んでしまったのでしょうか?」
「私?死んでるん?」
声が裏返った。
死んだ覚えが無い。
何かにぶつかったとか胸が苦しくなったとか、何も覚えが無かった。
「まあ・・・それも運命なら仕方ない事かも知れません。この方が良いのかも知れないですね」
死んでしまったかもしれないという事をあっさり受け入れる?
私の中で
『嫌だ!』と言う声が木霊した。
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