黄色いリュックの男の子

3/8
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
「ごめんな。それより僕、名前は?」 「竜太!丸山竜太!」 「りゅうちゃんか・・・エエ名前やね。」 と、言いながら私は、周りをもう一度確かめるように見回した。 よく見ると、私達三人以外は顔色が悪いと、思い込んでいたのは違うと気が付いた。 それは、まるでそれは、昔のモノクロ写真のような感じだった。 その上に少し色が着いている・・そんな感じだった。 思い切って後ろの座席の人に、声を掛けてみたが、私という存在が無いように無視されてしまった。 横の座席の人にも声を掛けたが、知らん顔で怯えた顔で座っていた。 「りゅうちゃん?他の人とは喋れないみたい・・・」 と、耳元で言うと、 「そんなことないわ。おばちゃん乗った時、前のお婆ちゃんと喋っていたやん。」 そうだった。 お婆さんと私は話していたのだ。 りゅうちゃんを自分の席に座らせると、私は、お婆さんに近づいた。 お婆さんの横に行くと顔を覗き込んだ。 お婆さんは、他の人と違ってモノクロではなく普通に見えた。 しかし、このお婆さんも私は、テレビの中で見た事があった。 曾孫のお祝いに東京へと行った帰りのはずだった。   覗きこんだ私を見て、 「何か御用ですか?」 と、にこにこしながらお婆さんは言った。 「いえ・・・・ただ・・・あの・・・」 私は、りゅうちゃんをちらりと見た。 りゅうちゃんは、 『早く何か聞いて!』と、言いたげな顔をしていた。 思い切って深呼吸をしてから私は訊ねた。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!