黄色いリュックの男の子

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私に携帯の待ち受け画面を見せた。 画面は真っ暗で、電池切れなのかと思ったが、 「今、バッテリーを入れ替えてみたのですけどね。潰れている訳ではなさそうです。彼の携帯も同じでしたから・・・」 りょうちゃんの方をちらりと見て言い付け加えた。 「貴方の携帯はどうなのでしょうか?」 専業主婦の私は、携帯を持った事がなかった。 「いいえ、私は持ってませんから・・・」 「じゃ、時計はどうなっていますか?」 男は、自分の左手に目をやった。 それを見た私は、慌てて時計に目をやった。 しかし、乗ってからりょうちゃんに言われた時の時間のまま止まっていた。 「時間止まってます。」 「そうですか・・・じゃ、私の時計が潰れている訳じゃなさそうですね。」 慌てた様子も無く、淡々と携帯を胸ポケットに収めると、名刺を出し 「私は、こういうものです。」 まるで仕事の挨拶のように、ごく自然に名刺を渡された。 男は、お婆さんにも名刺を渡して挨拶をしていた。 名刺の中には黒田次郎と書かれている。
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