黄色いリュックの男の子

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「あの・・私は森蔵由美といいます。あの子は丸山竜太君と言うそうです。」 私は、簡単に自己紹介をした。 黒田は癖なのか、メモ帳を取り出すと私と、りょうちゃんの名前を書いていた。そして、 「もし、差し支えが無ければ住所も教えて貰えませんか?私の自宅の電話番号と住所は、先ほど渡した名刺の裏に書かせて貰っていますから・・・」 こんな時、住所交換?私は少し腹が立ち、 「そんな事聞いても、ここから家に帰ることは出来ないと思いますけど?」 「じゃ、貴方は帰る事が出来た時、誰に、この真実を解かって貰えると思いますか?」 私は、そんな事を考える余裕も無かった。 黒田の言う事は解かるような気がする。 しかし、今は、どうにかしてここから、元の世界に帰ることが先決のように思えて仕方なかったが、言われるまま住所と電話番号を教えた。
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