由美の家族

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「それは、お前にも言える事だろ!俺は、かあさんのありがたみを充分味わったぞ!」 この六日間、このパターンで喧嘩腰になり、典子が 「早くかあさんの作ったもの食べたい・・・・」 初めの何日間は、幸一も 「そうだな」と言っていたがあまりに何もしない娘に対して 「お前は、かあさんが、帰って来たら料理ぐらいは、出来ようにしてもらえ!洗濯はしない、掃除はしない、こんなことじゃ恥ずかしくて嫁に出す事も出来んわ!」 幸一は怒鳴るようになっていた。 この親子二人にとっては悪循環の毎日だった。 そして喧嘩の後には、 「かあさん早く帰ってきてほしいよね。」 心底二人は、心から思うようになっていた。 そんな事も、明日になれば由美が帰って来るというその夜、由美から電話が入った。 「明日、八時頃そっちに着くから心配しないでね。あっ、もう十一時四五分やわ。五十分に夜行バス発車なんよ。公衆電話、中々見つかんなくって連絡遅くなったけどごめん。とにかく乗るから・・・もし、乗り遅れたら連絡するね。連絡無かったら乗れたと思って!じゃ、」 典子は、この電話を聞いて 「だから、私の携帯持って行けって言ったのに・・・かあさんったら使い方解かんないとか言っちゃって持って行かなかったのよね。この頃、公衆電話中々見つからないの本当に解かってなかったんだ。だから、専業主婦は世の中に置いてけぼり喰らっちゃうのよ。」 と、溜息をついた。
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