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この旅行に行く事になったのは、一本の友人からの電話だった。
「由美?当たったのよ!」
と、唐突に電話の主は叫ぶように言った。
第一声で、高校からの友達である聡美からだとはすぐに気が付く。
聡美は、今ご主人の都合で東京に住んでいる。
この頃標準語?らしき喋り方に変わってきていた。
「何?何に当たったん?」
「ディズニーランドのペアチケット!!」
「東京の?」
「あほ!そんなんやったら、こんなに興奮せえへんわ!」
本当に興奮しているのか、私と喋ると大阪弁になってしまうのか解からないが、昔の聡美の喋り方になっていた。
「じゃ、あれ?!」
「そう、あれ!ほら!ほら!えーっと・・・なんやったっけ?とにかく!外国や!」
聡美が、興奮して受話器を握り飛び跳ねているのが目に浮かんでくるようだ。
それに吊られてか、私も場所の名前が浮かんではこなかった。
「ん、わかる!わかる!とにかくディズニーランドやんな!外国の。それが当たったん?すごいやんやっぱり懸賞か?」
地名などかまわなかったので私は話の流れを戻した。
「そうそう、懸賞懸賞!コーヒーの缶に付いてるシール貼って、出すんあるやん?あれに出してみてん。ほんならこれが、当たったんやわ!すごいやろ?」
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