友人からの電話

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私には、今年高校三年になった典子という娘が居る。 この子が、生まれてから何日も離れた事がなかったのだ。 たまに、おじいちゃんやおばあちゃんの所に泊まりに行く事はあるのだが、私が子供を置いて何処かに行く事はなかった。 子供と何日も離れて過ごす事が怖いような寂しいような心配なのかよくわからない感情が私の中で渦巻いていくのだった。  「子離れ出来てないんやわ。私・・・」 そう、子離れが出来ていないと、実感した瞬間がこの時だったに違いなかった。 「これじゃあかんわ。子離れせんと!」 人から見れば情けないと思われるかもしれない。 まして、子供のいない聡美には説明しても到底解かってはもらえない感情だった。   その夜の食事の時、主人と子供にこの事を話した。 主人は、 「ええやん。行っておいで、毎日主婦頑張ってきてんから羽根伸ばしてきたらええ。」 娘は娘で、 「かあさん!行きたないん?私変わりに行ったろか?めちゃ楽しそう!聡美ちゃんやったら気心知れてるし・・・私行きたいわ。」
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