281人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
ホテルを出て、あたしたちは昼間のホテル街を静かに歩く。
夜はチカチカと無駄に光り輝くホテル街も、昼間はただのさびれたビルが立ち並んでいるだけだ。
それがまた、一層寂しさを誘う。
ホテル街を抜けた交差点で、二人同時に足を止めた。
「じゃあ、またなカノン。」
「うん、またねアキラ。」
この交差点を、アキラは右へ、あたしは左へ曲がる。
アキラはいつも平然とした顔で、なんのためらいもないように右へ曲がる。
アキラの背中を見るのが嫌で、あたしも表向き平穏に、さっさと左へと曲がる。
最初のコメントを投稿しよう!