2.孤独

2/18
281人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
ホテルを出て、あたしたちは昼間のホテル街を静かに歩く。     夜はチカチカと無駄に光り輝くホテル街も、昼間はただのさびれたビルが立ち並んでいるだけだ。     それがまた、一層寂しさを誘う。       ホテル街を抜けた交差点で、二人同時に足を止めた。     「じゃあ、またなカノン。」     「うん、またねアキラ。」     この交差点を、アキラは右へ、あたしは左へ曲がる。     アキラはいつも平然とした顔で、なんのためらいもないように右へ曲がる。     アキラの背中を見るのが嫌で、あたしも表向き平穏に、さっさと左へと曲がる。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!