母親

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その先客は 身体中にブランド品を 散りばたまだ20代後半くらいの 若い女性が座っていて 槇原さんと話をしていた そして俺達に気付いた その女性は 「あら」 「どうも」 俺は目があってしまったので頭を軽く下げた すると思樹が 「槇原さんこちらは…」 「…遊くんのお母様、 橘美沙奈(たちばなみさな)さんだ」 どこか不機嫌そうな槇原院長 そして俺は この母親を殴りたかった そう思っていると 「貴方達ね遊くんを誘拐したのは」 はっ!? 誘拐!? 俺達が!? 「お母様そんな言い方なさらずに この仔達は遊くんの面倒を見てくれて 入院費もはらっていてくれたんですよ?」 槇原さんは 必死に美沙奈さんに訴えるしかし美沙奈さんは 「あらお金がほしいの?」 と目の前に札束を放り投げた 「あまりしつこいと警察に言うわよ? 槇原先生この人達を追い出してくださる?」 横目で槇原院長を睨む 「しっしかし…」 「この病院がどうなってもいいのかしら?夫に頼めばこんな小さな病院直ぐに潰せるわよ?」 更に怒りが込み上げる 堪えろ… 俺は感情を圧し殺す 唇を噛む 血が滴る… でも遊は… 笑ってる 幸せそうな顔で 母親に会えた それが遊にとって一番の幸せなんだろうか ふと俺の腕を掴む綾 「行くぞ…」 「どっ何処に!?」 グイッと強く腕を引っ張られる 嫌だ 遊が居なくなる そんな気がしてならない でも綾は強引に俺をドアの外へ連れ込もうとする 「やめろ!!遊と居たいんだよ俺は!!」 子供のように俺は駄々をこねる -バチッ!! 俺の頬に熱を感じた 「バカ野郎!!遊は母親に会えた!!それが一番の幸せなんだよ!!これからはあの人が母親が面倒を見る 俺達は必要ない!! 遊とはこれでお別れだ!! 俺達がいれば病院を潰されかねない!! だし…」 「だし…??」 「遊の幸せを俺達が潰すわけにはいかないだろ…」 その言葉で全てが白くなった… 「失礼しました…」 俺達は軽く頭を下げ 病室を出た…
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