出逢い

2/3
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
ザァァァ… 「チキショー!!いきなしかよ!!」 傘を持っていなかった俺は 豪雨のなか家まで猛ダッシュした その時だった 微かに聞こえる声 俺は幻聴かと耳を疑った 「お母さん…」 と呟く 雨音に今にもかき消されそうな震えた声 その声は近場の公園から 俺は恐る恐る近づいた そこには びしょ濡れの小さな影 それはまだ幼い少年だった 「そこのちっこいのそんなとこいたら風邪引くぞ」 声に反応した少年は 顔をあげた そして俺の足にしがみついた 「どうした?家はどこなんだ?」 少年は震えた声で呟く 「・・・・・さんが…」 「え??」 雨音が遮断するかのように 勢いを増す 「お母さんが・・・ いらないって お前みたいな仔いらないって…」 何を言ってる? この少年は 親はこの仔を見捨てたのか 猛威を奮う雨 このままじゃ 2人とも熱だしちまう 俺は何も考えず その少年を抱え また家までダッシュした ザァァァ…と 雨音は強くまるで行く手を塞ぐかのように 勢いを増していった
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!