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同窓会は当時の学級委員長であり、同窓会主催者である池山(いけやま)の一声で始まった。
酒を持って女性陣のとこに行くもの。
結婚している者は結婚している者同士、夫や妻の愚痴。
みんな様々だった。
中学の時と全然変わってない者も居れば…
「誰?」ってくらい見事な変身をとげている奴もいて、不思議な感覚だった。
俺と辻は同窓会だっつうのに、広い座敷の隅で2人で語らっていた。
俺は七海の事をはじめ、今まであった事を辻に全て話した。
何でだろうか、自分の中で誰かに話してひと区切りおきたかったのだろうなきっと…。
辻は自分のことのように熱心に聞いてくれていた。
「そっか…。浩介も会わない間に色々あったんだな…。」
辻は真剣な顔で続けた。
「まぁ、飲んで忘れろって訳じゃないけど、七海さんが天国で笑えるように、清めようじゃねぇか。今日は飲め浩介。」
不器用だし、あまり品がある言葉とは言えないけど…辻の言葉が素直に嬉しかった。
それから昔話に花を咲かせて、2人でたくさん笑った。
会もお開きに近づいた時。辻は真剣な顔で喋りはじめた。
「なぁ、浩介」
「ん?」
「お前は死ぬなよ!!」
「は?死なねぇよ(笑)
辻の元気な姿見たら、まさに今自殺しようとしてる人だって"生きたい"と思っちまうよ(笑)」
「ははは、そうだな(笑)!!お前七海さんの分まで生きなかったら承知しねぇぞ(笑)!!」
その後もしばらく2人で談笑して
「また会って飲もうぜ!!」
なんて話をして会がお開きになった。
何だかんだ、楽しい時間を過ごせた事に満足した俺は、辻に何も違和感をもたずにいた。
同窓会の数日後…
辻は亡くなった。
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