プロローグ

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「菜月ッ、写真撮ろ~?」 「いーね。いっぱい撮る!!」 「いいか?はい、ポーズッ」 先生が向けるインスタントカメラに向かって、あたしと優はピースをした。 「先生~ありがとッ!!」 「ふたりとも卒業おめでとう。」 「先生~ッ」 「んッ?」 カシャッ 振り返った先生を、優はカメラにおさめた。 今日は卒業式 来月の四月から、 あたし達は中学生になる 「そだッ、ねぇ先生」 「来年でも、再来年でも、同窓会やろ~よ。この学年全員でさッ!!」 「全員?いったい何処でやんだよ。」 先生は苦笑いした。 「まぁ考えといてやる。」 「先生のおたんこなすッ!」 「バイバイ、先生。」 「あぁ、頑張れよッ。」 なんだか突然、涙が溢れ出して、 ただしきりに、あたしは先生に手を振った。 あたしの目に映るのは、 たった今校門を出て行った、 直樹の 後ろ姿だけだった。
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